幸福宣言12
2013/03/02 04:57

「なんでそう感情的になるかな。こっちは話し合おうって……」
「自分が有利な土俵で進めようとすんな!」
「そっちこそ口下手だからって、なんでも暴力に訴えんな!」
「おまえが言うか!」
「正当防衛!」

喧嘩はよくある。
というか、毎回俺がよくわからん理由でキレて、臨也が悪化させる。
お互いにどこかで折り合いを見出そうとするのだが、長年の付き合いで一度放熱してしまうほうが早いと判断したら乱闘になる。
暴れたあとは頭も冷えて、ついでに体もスッキリするから悪くはない。

ただ、やはり虚しさもある。
散らかった部屋や傷だらけになった互いの顔を見ると、どうにも情けないというか。
そのあたりのことを臨也はどう思っているんだろうか。
結局、俺はあいつに愛想を尽かされないか、だとか、どこかで飽きられるんじゃないか、とか。
とにかくそういうことが気になってしまう。

この日もそうだった。
喧嘩自体はいつもどおり収まったものの、微妙な居心地の悪さに俺はなんとも言えない顔で壊れたテーブルを見ていた。



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