幸福宣言10
2013/02/27 06:20

そういやセックスも変化するよな、やっぱり一緒に住むのと住まないのとでは。
同じ家で生活してるわけだから、多少の無理はきく。
毎日顔を合わせていつでもできる安心感から割とご無沙汰、なんて話も聞くが俺たちはそういうのではない。今は。
片想いというか、不毛な時期が長かったせいか、いくらやってもやりたりない気がしてしまうのだ。
それにまあ、気持ちいいことは誰だって好きだと思う。

疲れて帰宅した臨也はまだ眠らないらしく、仔猫がじゃれるように俺の体に噛みついていた。
むず痒い。

「するか?」

俺としてはしたい。
しかし、我慢できないこともない。
さすがに疲労している恋人をせっつくほど焦ってもいないし、別に明日でもいいのだ。
臨也は胸元にうずめていた顔をあげ、少し考える様子を見せてから口を開いた。

「最後までできるかわからん。……でも、舐めたい、いじりたい」
「疲れてるくせに、その奉仕精神は立派だなぁ」

こっちがやってもいいのに。というか、やる。
マグロになってろ、と思うのだが、臨也は首を振った。

「なんか、無性にね。やっていい? 途中で寝ちゃったらごめん。明日挽回するから」
「好きにしろ」

恋人のしたいようにさせようと、俺は腕を伸ばして彼の体を抱き込んだ。



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