幸福宣言9
2013/02/26 08:51

その日はひとりでベッドに入った。
寂しさをごまかすように早い時間に。

「――ただいま」
「!」

うつらうつらと眠気がやってきていたが、臨也の帰宅の声に俺は飛び起きる。
寝室から出るより先に、臨也がやって来た。
彼はベッドまでよろよろと駆け寄り、そのまま俺を抱きこむように倒れ込む。

「疲れたぁ……も、ほんと死ね……」
「物騒だな」
「どいつもこいつも……くたばっちまえ」
「はいはい、お疲れさん」

口汚く誰かを罵る臨也の背中をさすりながら、彼の髪に頬ずりする。

(あー、これこれ。やっぱりこれがないと)

感じる香りと温度に、俺はすっかり満足していた。
片や、あやされるのが不満なのか腕の中の臨也が体を起こし、ちょうど俺を見下ろすように腕を立てる。

「子供扱いすんな。シズちゃんも死ね! ……俺の下で」
「なんだ、余裕あるじゃねえか」

思わず吹き出すと、つられたように臨也も笑う。

「君の顔見たらね、ちょっとだけ復活した」



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