かわいいのね純情7(end.)
2012/10/09 00:53

臨也本人はこちらの動揺など知らず、ねだるように体をすり寄せてくる。

「リベンジしたいな。ね、ベッド行かない?」

直接的な物言いに、つい、吹き出してしまった。

「なんだよ、体でごまかそうってか?」
「そういうこと」
「しょうがねえなぁ」

言いながら、ゆっくりと腰を上げる。
心中でそっと、ドラマのキャラクターに謝った。馬鹿は自分もだ。
恋人に骨抜きになっている。人様のことを、とやかく言えるような立場ではない。

「あ、ドラマ終わっちゃったね」
「そうだな」

気づけばテレビにはコマーシャルが流れ、終盤の流れを見のがしてしまったことを知る。

「……まあ、幸せになるといいな、あの二人も」

適当な感想を呟くと、臨也はおかしそうに口の端を釣り上げる。現金だと言われているようで、少し恥ずかしい。
けれど、静雄は開き直った。どうとでも思うがいい。ドラマよりも、自分の恋愛のほうが大事だ。

「おら、リベンジすんだろ」

強引に彼の腕を引き、寝室を目指す。自慢の恋人の手腕は、これからおおいに発揮されるだろう。
みずからの想像に小さく笑い、静雄は扉に手をかけた。

(end.)



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