冬の妖精さん7(end.)
2013/01/02 10:27
カフェオレで一息ついて静雄は口を開く。
彼は言う。疑問だったのは――。
「なんで俺の考えてることがわかるんだ?」
「…………」
何も言わないのに、さっきから全部知ってるみたいに。
不思議そうに、そして少し、恥ずかしそうに。静雄は疑問を投げかけてくる。
(君だって俺のこと、なんでもわかるくせに)
どうも、彼はこういったことにうとい。
本能的な部分が強いせいか、感覚で生きている。深く考えることも多くはないのだろう。
(見透かされてるのが嬉しい。だから、相手のことも知りたい、考える。それはもう……)
「――愛の力じゃないかな?」
「…………」
なんて。
からかうように言えば、彼は押し黙る。
静雄は少し赤くなった頬を隠すように、カフェオレの入ったカップを傾けた。
(end.)
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