冬の妖精さん6
2013/01/01 20:31
自分の手料理はうまいだろう、と言うと、静雄は悔しげに唸る。
(犬か)
正直な反応がおかしく、彼の唇についたクリームを指で拭きながら、臨也は頬杖をついて真正面から静雄を見つめた。
「…………」
「ふふ、美味しいのは認めてくれてるんだ? 今夜は何食べたい?」
機嫌がよかった。
それは甘くおいしいケーキのせいか、それとも静雄との穏やかな時間のせいか。
理由は色々とあったが、とにかく楽しい。なんでも希望を叶えてやろうと、大きな気分になっていた。
静雄は咀嚼しながら、少し視線をさまよわせる。夕食も魅力的な提案と考えているようだが、気がかりがあるようだ。
「…………」
「今はこれでお腹いっぱいか。まあ、空腹感じたら考えよう。明日の朝を豪勢にしてもいいし」
せっかく食べるのならたくさん食べたいという素直な考えに、臨也も賛同した。
ようやく口の中のものが消えたのか、静雄は言う。
「……つーか」
「ん?」
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