冬の妖精さん5
2012/12/21 22:42
あまりに彼を見ていたからか、静雄がふいに顔をあげる。
「?」
「いや、ほんとおいしそうに食べるなぁ、って。……クリームついてる」
「ん」
口の端についたそれを指で掬い、舐め取る。
(甘い)
すると静雄は、何やら言いたそうに口を動かす。
が、まだ中にケーキの残骸が残っているようで、言葉は出ない。
「ん……うー……」
「……ああ、別にお子様舌をからかってるわけじゃ……え? 苦いのも食べられるようになった? それは俺が創意工夫して美味しく料理するからじゃない」
視線でなんとなく言わんとしているところを察し、臨也は笑う。
こういった言葉にならない会話も、最近はよくあることだ。
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