冬の妖精さん4
2012/12/15 13:45
(しかしまあ、ギャップというかなんというか)
大柄で、目つきが悪くて、見た目だけなら怖いと思われがちな男だ。
それが今、小さなケーキごときで幸せそうなオーラを全身から溢れさせている。
(ああ……もしかして、俺がいるからかな? うぬぼれじゃなければ)
願望をこめた妄想は、あながち間違いでもないだろう。
こちらの様子を時々窺う静雄の目は、臨也の機嫌を気にしている。
(俺が喜んでると、嬉しい。そういうことを考えてるんだろうか)
かわいい。そういうところが。
そして、こんな妄想をしている自分も、ずいぶんと変わったものだ。
(丸くなった……とは少し違うような。なんて言うんだろ、こういうの)
何もかもが静雄によってもたらされている。学生の頃からずっと。
思えば遠くまで来たもんだ、と胸中で呟きながら、臨也はコーヒーを口に含んだ。
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