かわいいのね純情6
2012/10/08 02:54

いつものように甘言を弄さない臨也に、静雄は小さな感動を覚えていた。言うなれば、恋人の新しい一面を知ったような。
何年ものつき合いであるのに、こういった初々しい心地は、きっと相手が臨也だからだ。

「……こういうのも悪くねえな」
「こういうのって?」
「俺の言葉で、おまえが照れる感じ」
「…………」

にやり、と人の悪い笑みを浮かべて言えば、臨也は沈黙する。
普段とは逆の展開に、静雄は気をよくしていた。
片や、肩をすくめた彼は溜め息と共に呟く。

「言われ慣れてないんだよ、そういうの」
「嘘つけ」

白々しい。どれだけの人間をたぶらかしてきたか、静雄とて知らぬわけではない。
不審をあらわに睨むと、そんなことはないよ、と臨也は笑う。

「心底好きな人に、同じくらい好きだって言われる経験は、はじめてだから」
「…………」

最後の最後に、こちらの心臓を揺さぶることを言うあたりが臨也だと、静雄は胸中で舌打ちした。



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