冬の妖精さん1
2012/12/05 23:21
「わお」
「どうだ」
得意げに静雄が取り出したのは、デパートでおこなわれていたフェアのお菓子。確か、クリスマスのドイツフェアだかなんだか、そんな催しだったと臨也は記憶していた。
華やかでかわいらしい、妖精だの天使だのがモチーフらしい小さなケーキが、箱には溢れんばかりに詰まっていた。
「ずいぶんとメルヘンだね」
「いいだろ」
「うん」
紅茶かコーヒーでもいれようと、臨也は腰を上げる。
甘ったるい菓子は量を食べられないが、嫌いでもなかった。
静雄があれだけ大量に買い込んだのは自分の分と、おそらく臨也の分を勘定に入れたからだ。彼もひとりならあそこまでは買うまい。
かわいらしい行動に笑いを噛み殺しつつ、キッチンへ向かった。
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