お客様は神様です19(end.)
2012/11/16 00:29
しかし。
「それは、駄目ってこと? それとも……」
「……っ」
あどけない表情でこちらを見つめる臨也に、つい、手がとまる。
何をされるか今からわかっている。だというのに、静雄はこの表情に弱い。今回も、結局は否と言えない。
つまり、了承したも同じだ。
「……そういうのは帰ってから言え! こんなとこで……」
「待ちきれなくて」
「馬鹿」
甘い空気をこれでもかと振り撒く男性客二人に、店の空気も浮ついている。
店員の気はそぞろで客もついついよそ見をしがち。気がついていないのは当人たちだけという、なんとも幸せな金曜の夜だった。
(end.)
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