かわいいのね純情4
2012/10/06 00:41
「俺はどうだ? 初恋が実って、大事にされて甘やかされて、愛されてる。幸せすぎて泣きたいくらいだ。ほんと、この女にわけて……やるのは嫌だけど、少しでもこんな幸せがあるんだぞ、って教えてやりたい」
「…………」
徐々に顔を赤くする臨也を見て、饒舌に拍車がかかる。
得意げに本音を舌に乗せた。
(こいつのこんな顔、滅多に見れるもんじゃねえよな)
そのせいもあってか、いつもなら言わないようなことを、なぜか今は平気で口にできた。
われに返ると恥ずかしさに潰されてしまう気がして、考えるより先に口を動かす。
「どんだけ悪い奴でも、恋人が幸せで満ちたりてんなら、恋人としてはそっちのほうが上に決まってる」
強く、断言する。
おもしろいぐらいに動揺している臨也に視線をまっすぐ向け、反応を窺った。
「……も」
「も?」
ふいに、うつむいていた臨也が妙な音と共に眼前に手を出してきた。
降参のポーズにも見える。
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