お客様は神様です5
2012/11/01 15:37
しばらく目の前の料理に舌鼓を打っていたのだが、ふいに視線を感じて静雄は顔を上げる。
臨也は静雄の手元の鉢を見つめていた。
「……喰うか?」
「うん、一口ちょうだい」
「ほれ」
静雄は目の前の料理に箸を伸ばし、そのまま臨也の口に運ぶ。
形のいい唇に箸でふれ、少し、緊張した。
うまく料理を食べさせてやると、臨也は上品に咀嚼する。
「あ、美味しい」
「もっと喰うか?」
「ちょうだい」
どうやら口には合ったらしく、ほっとした静雄はさらに料理を臨也の口に運んだ。
まるで親鳥が雛に餌を与えている気分だ。悪くない。
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