遠からずの未来9(end.)
2012/10/27 23:57
「……全部がいい」
言って、盗み見るように彼を見た。
臨也は目を丸くする。
それから優しく目を細め、手を伸ばしてきた。
「君が言うなら」
あたたかな風呂も、おいしい料理も。そして、いとしい恋人も。
すべて用意しようと、彼は頼もしく請け負った。
その自信ありげな様子に、つい、笑いがこぼれてしまう。この男は、こういうことで嘘は言わない。
彼が言うなら、それは現実になるのだろう。
「ついでに、やわらかいベッドも欲しい。特に、今」
わずかにあった恥じらいは捨てて、静雄は素直になることを優先した。
視線はもう、そらさなかった。
臨也に手を引かれ、キッチンを出る。
希望した夕食を味わうのは、もう少し先になりそうだ。
(end.)
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