遠からずの未来8
2012/10/26 05:35

楽しげに笑う臨也がいたずらげに指を滑らせ、静雄の顎をくすぐった。
振り払わないのは自分もまた、この空気を楽しんでいる。
まったく、犬も喰わないとはこのことか。

「シズちゃんのこと、つまみ喰いしていい?」
「…………行儀悪いぞ」

顔をそらせて言い返し、静雄はそっと目を閉じた。
時間を忘れて吹きこぼれないようコンロの火を消した手で、臨也の腰に手を回す。
まだ、視線を合わせるのは難しい。恥ずかしさが勝った。

「……さっきの、風呂とかメシとか、ってやつ」
「それとも私……って、やつのこと? お決まりのフレーズだよね」

お風呂にします? ご飯にします? それとも――私?
これは恥じらう新妻への男の願望なんだろうか。わからないでもないが。



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