遠からずの未来5
2012/10/23 00:32
「……次の休みは俺が作る」
「ほんと? 楽しみにしてる」
失敗時の悔しさを思い出し、臨也に次の約束を取りつけた。
彼は手を動かしながら、機嫌よくうなずく。
器用な指がエビの殻をむいている。今夜はシーフード・ドリアらしい。
「ソース、作ろうか?」
「お、じゃあ任せようかな。これ、鍋であたためて」
「おう」
簡単な作業なら、さすがに自分でも失敗しない。
言われるがまま静雄も手を動かす
「せっかくだから、この野菜も微塵切りにして、一緒に煮込んじゃおう。包丁使える?」
「一応な」
刃物はおまえの専売特許じゃないぞ、と相手を見やる。
臨也は臨也で「別に、ナイフが好きなわけじゃない。使い勝手がいいだけ」と、笑いながらこちらの言葉を受け流す。
手渡された包丁を、静雄は慎重に手元の野菜に向けた。
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