遠からずの未来4
2012/10/22 02:15

なんだか面白くない。
不満に思うのは臨也のそういう器用さを、自分は持ち合わせていないと自覚しているからで。
そして――。

「でも、シズちゃんの料理、好きだよ」
「…………」

こちらの心の掴み方をしっかり把握している恋人に、いいように踊らされるからでもある。

(好きだ、とか……一度しか喰ったこと、ねえくせに)

互いの都合がついて、突発的に、静雄の家に臨也がやってきたときのことだ。
夕食時だったこともあり、料理を出した。
自分も一緒に食べた。というか、自分用に作った食事だったのだ。
今でも思う、あれは失敗だった。

(こいつが急に来るから……自分のと思って作ってたし、味つけなんて、いつも適当で……)

なんとも言えない味だったはずだが、臨也は文句も言わずに完食していた。



prev | next
memo top


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -