かわいいのね純情2
2012/10/04 00:54

睨みつけると、臨也は本を膝に置いてテレビを指さした。

「だってこの男はちょっとだらしがないけど思いやりがあって、考えが甘いところもあるけど正義感も強い。責任感や人情だってそれなりにある。恋人のことだって、ほんの少しの誤解と偶然が重なって、不運な展開になっただけさ」
「おい、こんな奴を庇うのかよ」
「違うって。そうじゃなくて……」

一瞬、言葉に困ったように臨也は首をかしげたが、やがて苦笑を浮かべる。
こちらを覗き込むように体をひねり、その指がそっと、静雄の胸を押した。

「シズちゃんの恋人よりは、マシな男じゃないかってこと。世間的に見てね」
「…………」

言われ、静雄は沈黙する。
自分の恋人とは、つまり臨也のことだ。
この男がたいがいに最低な奴だということは誰よりもよく知っていたが、なんとなく、納得はできない。



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