遠からずの未来1
2012/10/19 02:31

エプロンをつけた臨也は、冷蔵庫を覗きながら上機嫌に鼻歌を歌っている。
静雄は手持ち無沙汰にその様子を眺め、彼の挙動を見守った。

「さて、何を作ろうかな」
「…………」

そう言って、臨也は静雄の隣に立つ。
目の前には使い勝手のよさそうな、綺麗なシステムキッチンがあった。

(こいつ、普段はこんな感じなのか)

喧嘩に明け暮れていた過去の自分たちが遠い。あまりにも平和な空間だった。
そもそも、キッチンに並んで立ったのは、静雄が臨也のあとをついていった結果である。
夕食時が近くなって、彼はエプロンを手にリビングを出た。
その背を見送って自分はテレビを見ているという選択肢もあったが、一人のつまらなさがまさった。
広い臨也の家のキッチンは、二人並んでも余裕がある。
それなりに自炊はしているようだ。綺麗に整理された食器棚や調理具の入った引き出し、調味料の類を見て静雄は感心した。



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