やわらかであたたかな1
2012/10/15 05:04
心地よい温度と空間に、うつらうつらと瞼がおりる。
「シズちゃん」
「……あ?」
名前を呼ばれ、ふいに意識が浮き上がった。
(いけね……)
あたたかな浴室の空気に、すっかり気をゆるめていた。
一緒に風呂に入ろう、と言い出したのは静雄である。
恋人の家の風呂は大きい。成人男性体格の臨也と、さらに大柄な静雄。そんな自分たちが同時に入っても、無理のない空間だった。
体や頭を洗い、臨也を抱き込むようにして湯船につかっていたのだが、揺れる頭に眠気を悟られてしまったらしい。
「ちょっと、俺抱きしめたまま寝ないでよ」
「あー……」
「聞いてる?」
臨也の首筋に顔をうずめた静雄は、寝ぼけた声を出す。
密着した肌の感触が、また、なんとも言えず心地いい。
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