飲みに行こうか5
2013/07/07 03:58
気づけば大通りを外れ、ひとけのない道を歩いていた。
そのせいか二人して言動が露骨になってくる。
「シズちゃんも好きなくせに。エロいこと」
「ったりまえだろ。童貞舐めんな」
「あはは! それおもしろい」
今度は尻を撫でられたので、仕返しに彼の尻を掴んだ。
「きゃー、痴漢!」
わざとらしい悲鳴をあげる臨也の首根っこを猫にするように掴み、噛みつく。
くすぐったそうに呻く彼の声が耳朶を揺らす。
そっと力をゆるめ、臨也の耳に囁きかけた。
何が痴漢だ。
「――百倍凄いこと、俺にするくせに」
「っ」
ぺろり、と耳を舐めると臨也の肩が跳ねた。
彼は照れたように笑い、静雄の肩を抱く。
「奥の奥まで知ってるからねぇ」
「…………」
意趣返しのように言われ、今度はこちらが口ごもる。
静雄は自身の顔が赤くなるのを感じていた。願わくば夜目にはわからない程度であってほしい。
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