飲みに行こうか3
2013/07/05 05:07

食事の席で何を、と思う反面、多少は心が躍るのも否めない。
絡まる指に僅かに力をこめつつ、時間はあるぞ、と臨也に告げた。
今日は週末。明日に予定はない。そうなれば食後の行動は決まりきっている。

「別にこのあとおまえんち行くのに」
「まあねー」

軽やかに臨也は笑い、けれど前言を撤回するつもりはないらしく、せかすように手を引かれる。
夜の雑踏の中、多少の視線は感じるものの静雄も浮ついた空気にあてられていた。
うまい食事に酒に、そして恋人。
店で過激な行為に及ぼうとは思わないが、ささやかなじゃれ合いは期待してしまう。

(個室、な)

自分の想像に小さく笑い、静雄は臨也に囁いた。

「おまえってもしかしてベタベタしたいほうなのか?」
「何その言い方」
「いや、考えたらおまえの恋愛観とか全然知らねえし」
「俺だって知らないよ、君の恋愛願望とか思考とか」

笑いながら彼が応える。
相手のことは昔よりも多くを知っている。それでもまだまだ、知らないことは多いのだ。

「さわるの好きだよな?」

確かめるように言えば、臨也はいたずらげに目を細めた。



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