WORLD8(こんにちは新世界)
2013/05/30 20:37

「今は……そうだな、甘くなった」

臨也はそう言ってこちらに顔を向けた。
静雄の指に自分の指を絡め、そのまま指先をこちらの胸元に寄せる。

「砂糖菓子みたいな時があるよ。可愛いってんじゃなくて、こう、甘い」

まるで小人が歩くように人差し指と中指で静雄の胸をつつく臨也。
その指の動きを感じながら静雄は目を細めた。
こちらに体を寄せ、臨也が言う。

「昔と比べてさらに男くさい君が甘いと不思議な心地になる。なんだかちぐはぐで……きっと俺しか知らないんだと思うと妙に興奮するし」

指の動きが少し変化する。どこか色めいた、挑発的な動きだ。
彼の言い分に、そういいうことなら、と静雄は言い返す。

「おまえのがさつな部分とかも、俺しか知らないんだろうな」
「はは、別に隠してるわけじゃないんだけどねー」

いたずらげに笑う臨也が鼻先をすりつけてきた。
まるで自然に、互いの唇や頬や鼻がふれ合う。動物になった気分だ。
すべらかな額に吸いつき、静雄は臨也の耳朶をつまむ。
そこに吐息を吹きかけて囁いた。

「ヤる時結構荒いよな。なんかイメージだとすげぇムードある空気作ってすかしたこと言う気がすんのによ」
「そう? うーん、自分ではよくわからん」
「さっきも」

脳裏に数時間前の情景が広がる。
穏やかとは言いがたい、まるで獣のような睦み合い。
血が湧き立つような感覚に溺れ、そして恋人の体に溺れた。



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