TOA | ナノ


ライガクイーン

森の中、ひしひしと殺気。人ではない、なにか。ミュウの話すライガだろう。けれどここまで剥き出しの敵意は、初めてだ。まさか、これが、あの。

『…気をつけて』
「はい、」
「んだよ、」
『この殺気に気付かないなんて、筋金入りの箱入り息子ね』
「な、」

広い空間のある樹木の中に歩みを進める。とてつもなく大きな魔物、ライガクイーンが先程よりも強い殺気を放ち、息を荒げてこちらを見ていた。確かクイーンは、産卵、孵化になると更に気性が荒くなるっていったっけ。そしてライガの子は、人を好む。孵化してしまったら、エンゲーブを襲うだろう。



『ミュウ、クイーンに交渉してくれない?』
「わかったですの!」

ぴょこんぴょこんと飛び跳ねてクイーンに少し近付く。クイーンの怒声に怯むミュウを抱き上げ、クイーンを見やれば、先程よりも殺気。これ以上近付けば、きっと殺されるだろう。けれど、

『クイーンに、』
「?、わかったですの」

確か、クイーンには娘がいたはず。神託の盾に、人の子でありながら、魔物と話ができる六神将、"妖獣のアリエッタ"が。


『クイーン、貴女と争いたくはないの。貴女は、まだ生きなければ

人の子だけれど…あの子は貴女の娘でしょう?』

"応じてくれないのなら、私は貴女を殺さなければならないわ"言えば、殺気は少しずつ消えた。よかった、これで六神将のあの子と争わなくてすむはずだ。

「おい、大丈夫なのか?」
『クイーンが交渉に応じたわ。動けるようになれば、森を離れるそうよ』

ですのー!と腕の中でミュウが叫ぶ。ああ可愛い、小さなこのチーグルをピオニーに見せたら、喜ぶわね、きっと。なんて思うも、意識はすぐに外に行った。


来た。かなり警戒しているようだ、早く、早く此処から離れないと、あの人はきっと、譜術をぶっ放すだろう。

『さ、帰りましょう』
「そうね」
「長に報告に行くですの」

そこから出ると、不機嫌なアニス、そして感情が読み取りにくいが決していい顔はしていないジェイド。近寄り、彼の胸に自分の額をくっつける。後ろで"ああああああ!!"とアニスが叫んでいるけれど気にしてられない。

『ごめんなさい、』
「…許しません」
『ジェイド、っ』
「冗談ですよ
そのような顔、なさらないでください」

頭を撫でられる。大きな手、この手がとても好きだ。色々な人を手に掛けてきた手。様々な血を、彼は浴びてきたのだ。私も、彼程ではないが、罪のない人の血も浴びてきた。

故に、ついた二つ名は"悪姫ホマレ"(あっき)、"水女神"(アクアミューズ)。悪と呼ばれる程に残虐なことはしていないはずだけど、"死霊使い"と一緒に行動していたことが多かったからか、女版死霊使いとも呼ばれた。二つ目は自国でたまに呼ばれている、とピオニーからきいた。

『あ、大佐』
「なんです?」
『この二人が、例の』
「あぁ、わかりました

アニース」
「はあーい大佐ぁ!
なんですかあー?

…ふむふむふむふむ、りょーかいしましたぁっ
イオン様のこと、お願いしますねぇっ☆」

きゃぴきゃぴと手を振り走りさったアニス。これで、彼らは逃げられない。逃げようとしたとしても、地獄まで追い掛ける、のまえに直ぐに捕まえることは可能だけど。

長への話が終わり、ミュウは1年間群れから追放された。そして、ルークと1年間過ごし、役目を果たす、と。ソーサラーリングのおかげで、普通よりも威力のある炎を出せるミュウは、今回の旅で重要な役割を持っている、はず。

森の入口付近まで来ると、ぱたぱたと足音をたてて、焦げ茶にピンク色、アニスが走ってきたのが見えた。こちらの姿を確認するとさらに速度をあげて駆けて来る。にっこりと笑ってジェイドの前に行けば、えへへと言いながら話す

「完了しましたあっ
ほめてほめてぇっ☆」
「いい子ですねぇ」
「わーいっ、えへへ」

頭をぽん、と撫でられたアニスはちらりとこちらを見て"どうだオバサン!"とでも言いたそうな目を向けてきた。…私はオバサンじゃないし、羨ましいとも思っていない。

来た。タルタロスから数人の兵士がおりてきたのだろう、私達の周りに、というかルークとティアを囲んだ。逃げられまい。

「この2人を捕らえなさい、」
「ジェイド!
アース、なんとかしてください」
『大人しくしていれば、悪いようにはしませんよ
ねぇ、ジェイド大佐?』
「えぇ、」

口許のみ笑っているジェイド。それを見たルークは肩を揺らす。ティアは諦めたようについていくことを告げ、ルークは何か言いたそうな顔をしていたけれど、ついていくと小さく言った。

「いい子ですねー
…連れていけ」
『あ、乱暴に扱っちゃ駄目だからね』
「は、了解しました」

綺麗に敬礼したのは、ジェイドの副官のマルコと私の副官のライ。タルタロスの中でも、まだ広めの部屋に2人を連れていくように命じた。

「アース」
『ん、なに?』
「ルークは、」
『普通に気付くわよねー。貴方の思ってる通り。彼、使えそうじゃない?』
「そうですね、まずは話して見ないとわかりませんが」
『悪い人、』
「貴女こそ」

くすり、笑えば頭を撫でられた。20代後半になっても止めてくれない、この行為はくすぐったいけれど、彼にされると許してしまうのだ。

違法入国者、


(さあ、話しにいこう)



20110714

私が3DSでちょうどここらへんなんですよ。
え、遅い?

いやいやいや、だってこれ打ち終わるまで進めないでいましたもんww

なんか、夢主のキャラがちゃんと書けない。
あるぇー、ずっと温めてたキャラだから幾分かは書きやすいけど、あ、あれだ、まだ身分とか隠してるから、少佐辺りの階級名乗ってるから、あまりジェイドにも大きく出れないんだ!←



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