TOA | ナノ


みゅうみゅう、みゅう

夜更けに物音。気になって部屋から出れば緑色の髪が揺れていた。

『イオン様、どちらへ?』
「アース、ですか」
『どちらへ行かれるおつもりで?』

聞かなくても、わかっている。けれど彼の口から直接聞かなくては、そうしなければ私がついて行くことはできないのだ。。かといって彼一人で行かせるわけには行かないからなんとしてでも言わせなきゃならない。

『イオン様』
「…チーグルの、森に。
昨日エンゲーブでおきたこと、放ってはおけません」
『では、行きましょう』
「え、」

私の言葉に驚いた様子のイオン様に、にっこりと笑いかければ、彼は安心したかのように釣られて笑った。

『貴方なら、行くと思っていましたから。やはり、お優しいのですね』
「そんな、ことは」

"ご謙遜なさらず"と頭を撫でてやる。といっても彼のほうが私より背は高いのだが。困ったように笑う彼に、自分も笑ってみせた。身体が弱いと聞いている彼に合わせてゆっくりと、時々休みながらチーグルの森に向かった。数回戦闘になり、その度に彼は術を使おうと音叉を強く握るが制止し、譜銃を構え数段撃ち込み絶命させていく。

「…強いですね、流石"悪姫"ホマレ、」
『気付いて、いらしたのですね』
「今の戦闘を見て確信しました」

にっこりと笑う彼には、バレていたようだ。流石は導師イオン。数回の戦闘で確信に導くなんて。

チーグルの森に着くと、疲れた様子の彼を座らせて休ませる。先に魔物がいないか見に行くことを告げて、先にいる魔物を絶命させていく。あまり長い時間彼を一人にはしておけまいと、3回戦闘の後、先程の場所に戻れば、顔色が悪い彼と、エンゲーブで見た朱色と茶色。

『、イオン様!』
「あ、おまえ」

朱色が私を指差すも、今は構っていられない。ふらりとその場に腰を下ろすイオンに走り寄り、治癒術をかけようとする茶色を押しのけた。

「きゃ、」
「おいお前!」
『っ、キュア!』

「詠唱、破棄」

「…すみませんアース」
『いえ、貴方から離れた私の責任です。お怪我はなされていませんか?』
「はい、」
『ダアト式を、使いましたね?あれは使わないよう頼みましたでしょう?』
「…すみません」

俯いた彼に、溜息を一つついて頭に手を乗せた。怒ってるいるのは、貴方が心配だったからだと、彼はわかってくれるだろうか。自分が劣化しているからだと、落ち込んでしまうだろうか。

『貴方が倒れたら、皆心配します。私も含め』

「、すみません」
「謝ってるだろ、コイツ」
「ルーク、」

『ああ、私は怒ってないわよ?ただ心配してるの』
「僕も、それはわかっています、から」

へにゃり、と笑うと驚いた二人。きっと、イオン様の言葉に、だろう。
話が変わって、彼の目的と彼らの目的が一致し、4人で奥を目指すことになった。朝になればイオン様がいないとアニスが騒ぎ、私もいないことを確認したジェイド達は此処に向かってくるだろう。違法入国者だと、会えばジェイドもわかるはず。そして、アニスにタルタロスを呼ばせるだろう。私は、ジェイドの副官の職務を、少しの間遂行しようじゃないか。

(ちなみに、タルタロスにいる兵士達に、ホマレ中将と呼ばないように、と伝えれば驚いていた。いや、残念がる、のほうが正しいか)

『そうだわ、』
「?、何ですか?」
『あなた達の名前、聞いてなかったと思って』

言えば、きょとんとした表情の後に、納得したような顔になる2人。ころころと変わる表情に、若いなーなんて思った。いや、だってきっと10歳は離れてるでしょうし。

「ティア・グランツです」
「ルーク・フォ」
「ルーク!」

言おうとする朱色を制止するティア。ああこれで確信した、彼は、やはり。これも後でジェイドに知らせなきゃ。面倒事はジェイドに任せよう。私はこの旅、参加しないはずだったのだから。

『チーグルだわ』
「可愛い…」
「…うざってぇ」

戦闘もあり、2人の動きをサポートしながら戦う。まだまだ青い、ただ振り回すだけのルーク、詠唱するものの、速度が遅く、接近戦が苦手なティア。磨けば、戦闘回数が増えていけばきっと強くなるだろう。きっとルークが調子に乗るから言わないけれど。

森の奥、大きな大樹の中に入ると、チーグルが沢山いた。可愛い、とティアの小さな呟きが聞こえるも、それは今は聞かないふり。その場で立ち止まる3人を置いて、老いたチーグル、長であろう一匹に迷わず近付いた。

『お久しぶりです、長』
「…ぬしか、久しいな」
『…来た理由は、わかっているだろう』
「勿論じゃ、」

すると話だす長。"魔物が喋った!"とルーク、ティアが驚いていたが、リングのことを話せば直ぐに納得し、話を聞き入れた。小さな蒼色のチーグル、名をミュウというそうで。この子がライガの住家を燃やし、ライガがチーグルの森に住み着いてしまい、食料を盗みライガに与えていた、と。

『そう、では…そのライガは何処にいる?』
「みゅ、みゅみゅう」

リングをはずし、ミュウにはめる長。ぴょこぴょこ、と耳を動かし口をぱくぱくと動かせば、みゅっみゅ、と声を発した後、"ボクが案内するですの"と少し怯えた様子のミュウが話した。

『よろしくね、ミュウ』
「、はいですのっ」

しゃがみ込み、手の平にミュウを乗せて頭を撫でてやると、安心したのか嬉しそうに手の上でミュウが飛び跳ねた。


チーグルの子


(嫌な予感しかしない)



20110712

打てるときに打っておく!

次はライガと対面。
クイーンを絶命させるかどうか迷ってます←

その方向でアリエッタとの会話が変わるからなあ

ひぐらのえ


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