女の子ってこわい
ダアト
神託の盾騎士団
相当の高さ、広さ、神々しさ。2つの国の中立、というのだから当たり前だけれど。ここにきたのは何度目だろうか。数えきれないくらい此処にはきたことがある。
「さて、導師との約束の時間までまだ時間はありますね」
『…あ、私概要しか知らないから、目的とか話して』
「そうでしたね、分かりました」
"まずは"と言って始まった説明。私の問いに答えながら続いて小さな厭味を飛ばし、それを慣れたようにスルーすれば"おや"か"傷つきますねぇ"と心にもない台詞を言い、いつの間にか約束の時間まで1時間を切っていた。
「では、行きましょうか」
『わかったわ、ああそうだ』
"なんですか?"と振り向いたジェイドに、一つの提案をした。ぱちりと珍しく戸惑いというか驚いた、というか普段しない表情を浮かべたジェイドにくすりと笑い、つづいた了承の言葉にこくりと頷いた。
「…すみません、待ちましたか?」
「いえ、貴方が導師イオンで間違いありませんか?」
「はい」
「マルクト帝国、ジェイド・カーティス大佐です。道中、宜しくお願いします」
「僕は、」
「ああ、イオン様がなさらなくていいですよぅ!
あの、はじめまして、ジェイド大佐。こちらは、神託の盾騎士団の導師イオン様です。私は導師守護者アニス・タトリン響長といいます。これから宜しくお願いしますねぇっ」
きゃぴきゃぴとした少女が、話せば、ぴくりと一瞬だけ眉が動いた。この手のタイプはジェイドはあまり好きではない、というか苦手だ。ほら、まあ陛下と同人種っぽい感じがするからだと思う。こんな小さな子が守護者とは、信頼されているのだと、思う。
「あなたは?」
『ジェイド大佐の補佐をしています、アース・バルフォアと申します』
「バルフォア、」
『ふふ、ファミリーネームにはあまり触れてほしくはないんです』
「すみません、
宜しくお願いします」
断りはいれなかったけれど、隣のジェイドを見れば、にっこりと笑っていた。怒ってる。この顔は、ちょっとやばいかも。
「アース、後で、」
『はい、大佐』
アースは偽名、というわけではないけれど、陛下とジェイド、ほかの親しい人から呼ばれる愛称だ。といっても私が軍に入ってからはホマレ、本名で呼ばれていたのだけれど。久しぶりにジェイドに呼ばれた愛称にくすぐったい気持ちでいた。
戦艦タルタロスは、長い年月をかけて最近やっと完成し、長旅や重要任務の時に使用される。使われている音機関は高価なものばかりで、安々と手には入らないものばかり。マニアだったら1日中見ていても飽きないだろうし、何度見ても飽きることはないだろう。
「アース、でいーい?」
『えぇ、タトリン、響長?』
「あー、私のことはアニスでいいよ?
よろしくねーっアース」
懐っこい性格の子なのだろう。にっこりと年相応の笑みを浮かべて抱き着いてきた。あ、可愛い。こんな妹がいたら嬉しいだろう、な…え、
『いっ、』
「大佐は渡さないからね、オバサン」
『え、はぁ?』
耳を引っ張られたかと思えば先程の声とはうって変わって低い、低い声が聞こえる。オバ、オバサンっていったの、この子。
『私は、まだ20代よ!』
「えー、私にとったら20代はオバサンだもーん☆」
言葉は憎らしいのに、やはり笑顔は可愛くて。男好き?いや、"大佐"が好きなのか。あぁ、なんだ。わかりやすい子だなぁ。なんて考えていれば、ジェイドとイオン様がこちらに来た。
「イオン様ぁ、お話終わったんですか?」
「はい、セントビナー方面に行きます。アニス、部屋に行きましょうか」
「はぁーいっ
あ、大佐ぁ…おやすみなさぁーい」
「えぇ、おやすみなさい」
ジェイドの前でのアニスは、女の子全開。可愛くて、自分の武器をちゃんとわかっている。すごいな、羨ましいや。私は、絶対に素直になれないし、可愛くもないから。
「さて、」
『なに?』
「ファミリーネーム、どうしてアレを?」
言ったジェイドは笑っていた。口許だけ、だけど。目は全く笑っていなくて、死霊使いと呼ばれる彼を改めて恐いと思ってしまうほど、冷たい目をしている。思わず、怯んでしまうほど。
『あそこでの暮らしが、好きだったんだもの』
真っすぐ目を見た。仕方ないじゃない。貴方は過去を引きずっているから。この名前だと貴方の傷をえぐるとわかっていても、あの頃が楽しくて、あの頃、ジェイドが好きだったから。
こんにちは、仲間
20110708
漆黒の翼を追う前の話。イオン、アニスと合流する話でござる。
いまさらながら夢主説明←
ホマレ・セレア・マルクト
ピオニーの実妹。28歳
ジェイドが好きで、彼を追いかけて軍に入隊するも、変わってしまったジェイドを見て、彼を怖いと感じてしまい、心にしまい込む。
ジェイド程ではないが才もあり武もたつ。術者としても上級で、回復補助は夢主を超える人間は今生きている人間でいないとされる。所謂、女版ジェイドである。
才能、力に合う階級だというのに、彼女を妬む人間から"陛下の妹"だからと七光と言われることがあり、それに傷付き、陛下の妹ということは公言していない。
マルクト帝国軍中将、第一師団長兼、軍指揮長
階級が少佐以上は夢主の実力を知り、彼女を尊敬、慕う。
主に女性隊員から、ジェイドと仲が良いことを妬まれ、よくからかわれる。
あれ、なんかここまで具体的に書いていいんだろうか。
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ひぐらのえ
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