TOA | ナノ


ことのはじまり

Rem Decan Grand Cokuma


『…本当に、行くの?』
「えぇ」
『…行きたくない』
「強制連行します」

グランコクマの一室に私はいた。職場の部下…といっても入隊したのは私よりも随分前で先輩なのだけれど。とある任務で長期に渡り基地を離れることなってしまった。本当に嫌だ。本来ならばこの任務は私は行かなくて良かったはずであったのに、何故か同行することになってしまった。

『戦闘はジェイドね』
「老体は労ってください」
『まだ30代じゃない、何言ってるのよ』

"仕方ありませんねぇ"とくすりと笑う男、ジェイド・カーティスの背を軽く、と叩いた。大佐の地位にいるものの陛下からの信頼は、国で1番であり本来ならば大佐の地位にいるなんて有り得ない。彼ならば将軍の位置にいてもおかしくない。才もあって武芸も達者。彼は、完璧なのだ。

『私は行かなくて良かったはずなんだから、しっかり任務こなしてちょうだい』
「了解しました、ホマレ中将、殿」

彼とは幼い頃から知り合いであり、兄の友人であった。彼の妹と私は友人…親友であり今も交流はある。

「タルタロス、乗るのは初めてでしょう?」
『乗りたくなかったわよ、』

「あぁ、貴女は乗り物が嫌手でしたね」
『…次言ったら氷漬けにしてやるわ』

"怖いですねぇ"と肩をすくませる、素振りをする男。なによ、そんなこと思ってもいないくせに。彼は、天才と謳われる男だ。六種の音素を難無く取り込み上級の譜術を使用できるし、接近戦も可能。私は、第七音素を操ることができるから治癒術を使用することはできるものの、他の六つのうち、地と闇、風は使用できない。接近戦は苦手で、腰に剣はさしてあるものの、抜くことは滅多にない。基本的には短剣かナイフ、もしくは譜銃だ。

そして…私は大の乗り物嫌い。薬を飲んでも効かないし、酔いがピークをむかえるとその時自分が何をしていたか、記憶は一切なくなってしまう。軍人としていかがなものかと思うけれど、所詮は七光りであろう。自分でも、分かっているのだ。

『…具合悪、』
「おや、まだ出発したばかりですよ?」
『だから来たくなかったの』
「仕方ありませんね…ほら、来なさい」

彼の座る長い椅子…ソファ、自分の横をぽんと叩き座るように促される。覚束ない足取りで、その場に行けば素直に座ってやる。あぁ、目が回る。彼の肩、いや腕に頭を押し付けるとくすりと笑われた。なによ、仕方ないじゃない。

「無理はしないように」
『させてるのは、誰ですか』
「おや、私ですか?」

"酷いですねぇ"と笑いながら、私の頭を撫でる。頭を押し付けていたのに、ゆっくりと倒されて、彼の太股に頭を乗せる体制になれば、頭を撫でられて目を閉じた。

『きもちい』
「まだまだ子供ですねぇ」
『むかつく、私もう28よ』
「そうでしたね」

"ダアトまで寝ていなさい"その言葉を微かに耳にいれ、言葉通りダアトまで眠ったのだった。


彼の傍は落ち着く



(長い旅になりそうだわ、)



20110702

あーあ、何回アビス書き直せばいいの私←

3DSのアビスを買って、さらに再熱しますた。ああジェイドかっこいい結婚してほしい←既婚者ダマレ

ひぐらのえ

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