TOA | ナノ


姉妹というより

神託の盾騎士団の総本山、ダアトに来て一ヶ月。
ヴァンが正式に私の兄になってから一週間が経った頃。今日はヴァンの妹であるティアに私を紹介する、とヴァン…じゃなくて兄さんが言っていた。


『―…ねぇ、アッシュ。
私、ちょっとだけ怖い、の』
「お前にも怖いものがあるんだな」

『失礼ですね、だって初めて会うのに、いきなり"妹だ"なんて混乱すると思うんです』
「まぁ…そうだろうな」

『仲良く、なれるでしょうか』
「知らん」
『アッシュ、冷たい!』


ダアトに着いてから、私は神託の盾騎士団に入団した。本来ならば学校に入って数年鍛えて、正式に入団になるのだけれど、ヴァンの妹になったということと、アッシュと同等の力をその場にいた兵士達に証明したということもあり、学校をパスして六神将、鮮血のアッシュの下、副師団長なるものに任命されてしまった。


「そろそろ時間じゃねぇのか?」
『あぁ、そうですね
じゃあ行ってきます』


"あぁ"と声が聞こえて、席を立つ。一方的にだけれど私はティアを知ってるし、彼女がこれからどんな思いをしてどんな道を歩いていくか、全部とまではいかなくても分かっているつもりだ。
私が六神将にいれば、いずれ彼女とも戦うことになるのも明白だし、彼女の体も心も傷付くのは分かっていた。


『仲良く、なりたいな』


長い迷路のような廊下を歩きながら、ぽつり呟いた。同い年、なんだよね確か。なのにあの子は胸でかいし、私は……はぁ、駄目だなぁ、あんまり気にしないようにしないと。

ヴァン、兄さんの待つ総長室についたのは、約束された時間より10分程早かった。こんこん、とノックすれば声が聞こえて、そろりと中に入る。


「来たか、待っていたぞ」
『遅れてしまいましたか?お兄さん』
「いや、気にするな
まだ予定よりも早いからな」


にっこりと笑みを浮かべるヴァンは、やはりそんなにも酷い人だとは思えない。

もし姉さん達なら、ヴァンのこの笑みを怪しいとか裏があるとか言うのだろう、けれど私は、まだまだ子供だからか、信じたいからか、ヴァンがあんなにも悪い人間であると思いたくなかったのだ。


「兄さん、あの…」
「あぁティア、紹介しよう。
お前の義妹になるホマレだ」
「…かわいい」

『ホマレです、はじめまして
ティア、ちゃん?』


私よりも10cm以上高いであろう身長のティアを見上げると、頬をほんのりと赤く染めて、ぎこちなく笑うティア。


「はじめまして、ホマレ
ティアでいいわ、よろしくね?」
『はい、よろしくお願いします!』


手を差し出されて、その手を握ると、ふわりと香ったティアの優しい匂いに心が暖かくなった。受け入れて、くれたのだろうか?


「兄さんに聞いたけれど、同じ年なんでしょう?敬語じゃなくていいわ」
『え、でも』
「私も、貴女と仲良くなりたいの」


"ね?"と首をこてんと傾けたティアに嬉しくなって満面の笑みを向けた。アリエッタとは違う雰囲気の、私の義姉でもあり友人になった、ティア。


「ティア、仲良くしてやってくれ」
「はい、兄さん」

『ありがとう、ティア』
「ふふ、ねぇホマレ」
『ん?』



姉妹というより



(兄さんに変なことされてない?)
(ほぇ?あ、うん多分大丈夫)

(何かあったらすぐに言って、いいわね)
(う、うん)



20111116

久しぶりの更新
ティアに会わせたい一心でトイレでカチカチ←
すらすらと打てました、ティア万歳!
まだまだオリジナル要素たっぷりですが、本編にも早く追いつきたい。

しかし追いついたらジェイド連載進んでないからヤバい\(^O^)/オワタ



prev / next

[ back to top ]