TOA | ナノ


痺れ、その後


次第に薄れていく痺れと比例して羞恥心はひどく増すばかり。擦れ違う神託の盾兵に驚きの目を向けられながら、食堂までの廊下を何も言わずに歩くアッシュ。恥ずかしい、ただそれだけが私の頭を占めていて、とてもじゃないけれど上を向いてアッシュの顔を見るなんて無理そう。


『あの、アッシュ』
「…なんだ」
『もう、平気、だから』
「もう着く」


力強い腕に、驚いた。というか、ナタリア以外の女に触れるんだ…あれ、これ偏見?えーと、このまま食堂に行くと、いうこと?わわわわ、恥ずかしい、ヴァンとかリグレットとかアリエッタとかシンクとか他の神託の盾兵もいるはずなのに!どうしよう、諦めるべき?かな。


『ごめんなさい、足が痺れて…』
「……痛めたんじゃないのか?」
『正座して、足が痺れて、動けなく、……ったぁ、』


衝撃。お尻とか背中とか肘とかを打った。何故かというと、抱えてくれていたアッシュが手を離した、というか放り投げたというか。上を向くと、茹で蛸のように顔を真っ赤にしたアッシュが口をぱくぱくさせていた。


「貴様…!」
『え、私、嘘ついてない!足痺れて動けないから、助けてって言った、の!』
「、おいていく!」


ダンダンとすごい足音を立てて先を歩いていくアッシュ。ちょっと待って、私食堂の場所しらないいいい!


『ま、待ってアッシュ』
「知るか屑が!」
『屑じゃ、ない!』


ぐ、と後ろに靡く団服を掴むと、歩みを止めてくれたアッシュ。再度歩き出したアッシュの服を掴んだまま、先程よりもゆっくりとした速さで歩いてくれるアッシュに、頬が緩んだ。


「お前…」
『ホマレ、だもん』
「……何故剣を使えた?」
『身体が、勝手に動いた、の』

「…そういうことにしておいてやる」


ふ、と笑ったアッシュの顔はとても穏やかで、なんだか嬉しくなった。それから食堂までの廊下をアッシュの年齢とか私の年齢とかを話した。

(アッシュ16歳だって…てことは物語の1年前ってこと、だよね)

皆が幸せに、ならないかなぁ。そう思いながら歩いていると食堂について、アッシュが扉を開けてくれた。(流石貴族、レディーファーストってやつ?)


「来たな」
『ヴァンさん』
「はは、兄さんでいいぞ?」
『はい、兄さん』


そう言った途端ヴァンの顔が酷いことになったのは、忘れたいと思う。うん、きっと皆一緒。



痺れ、その後



(ニヤけたヴァン)
(変態オヤジか!!)



20111004


うちのヴァンはこんな役回り
アッシュ連載はギャグ多めかもしれません


ひぐら


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