TOA | ナノ


ガールズトーク

リグレットに連れられて、部屋に通された。簡易的なものばかりだけれど、ベッドもある。


「今日からダアトに着くまで、此処がお前の部屋だ。

まずは…シャワーを浴びなさい。替えの服は私が用意する」
『有難う、ございます』
「気にすることはない」


部屋に備え付けのシャワーで身体の泥や、汚れを流しながら、此処は大好きなアビスの世界だと改めて認識した。

画面越しに見ていた六神将は、リグレットは怖いイメージだったけれど、面倒見が良いのだと思った。


(ああ見れば、ヴァンも良い人みたいなのになあ)


ほかほかと身体も温まり、真っ白いタオルを身体に巻いてシャワー室を出ると、リグレットではなく赤髪が其処いた。


『あ…』
「、!!!」


ぱちり、目が合うと顔を髪と同じくらい真っ赤に染めた赤髪。くるりと後ろを向いた赤髪に、笑いそうになった。可愛い、…慣れて、ないんだろうな。


『どうして、此処に?』
「リグレットに、飯を持って行けと言われただけだ」
『そう…有難う、』


ベッドには、下着と黒い服。ブラジャーは仕方ないけれど先程つけていたものをそのまま付けて、パンツは、と考えると支給品だろうか、袋に入ったものがあった。有難いと思いながら其れをはいて、黒い袋を頭から被れば、ワンピース形の、丈は少し短いけれど下着が見えることはなさそうなもので。

赤髪に近付くと、入口にすたすたと歩いていく少年。


『大丈夫、もう着替えた』


言うと、振り向いて、改めて目が合った。綺麗な目の色。見惚れていると眉を顰めた少年。


『ご飯持ってくれて、有難う』
「…いや」


椅子に腰掛けて、トレイに乗った食事を口にする。あ、なんだか懐かしい味がする。


「お前…」
『うん、なあに?』
「本当に、記憶がないのか?」

『此処の記憶は、全く』


嘘は言わない。どうせバレるだろうし。それに嘘は言っていない。此処で過ごした記憶なんて全くないのだから。


「…アッシュだ」
『ホマレです』
「1時間後、また来る」

『分かった…ねぇアッシュ』
「なんだ」

『仲良く、してね』
「……、あぁ」


駄目元で言ったら、頷いてくれた。アッシュは、優しい。嬉しくなって出ていったアッシュのことを考えながらパンを食べているとコンコンと控えめなノック、後に扉が開いて、見ればピンク髪のアリエッタがいた。


「食事中に、ごめんなさい、です」
『気にしなくていいよ、アリエッタ

座って、お話しよう?』


ぱ、と表情が明るくなったアリエッタを可愛いなと思った。


コンコン


『はい、』


アリエッタと、神託の盾のこと、六神将のこと、アリエッタのお友達のことやママのことを話していたら、またノック。声をあげれば入ってきたのはリグレット。


『リグレット、服と下着、有難う』
「ピッタリのようだな」
『うん、シャワーも気持ちよかった』


にっこり、笑って言うと、微笑んだリグレットに頭を撫でられた。すると、羨ましそうに私とリグレットを見たアリエッタに気付いたリグレットは、アリエッタの頭も撫でた。嬉しそうに笑うアリエッタと、優しい瞳で笑うリグレット。まだ少ししか一緒にいないのに、なんだか…幸せな気分になった。

リグレットも話に加わり、色々なことを教えてもらった。リグレットは、面倒見が良くて優しい、姉のような人みたい。


(姉さん達は、どうしてるだろう)


アッシュが来るまで、あと数分。



ガールズとーく




(2人共、こんなに優しい)



20110924




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