愛を囁いて、



ユリウス兄さん…じゃなくて、ユリウスとの情事から数日。

今までは週に数回だったのに、恋人になってからユリウスのお家(向かいのお部屋)で晩ご飯を食べるようになった。ルドガーの作るご飯はどれも美味しいから有り難いし嬉しい。

それに、ユリウスと一緒にいられるし。

兄弟のようにして過ごしていたから、この関係を壊すことが怖かった。昔からだったけどユリウスの優しい笑顔は大好き。最近はさらに輝いて見えるからきっと私は末期だろう。


「はぁーっ、美味しかったぁ…ご馳走さま、ルドガー」
「いい食いっぷりなことで」
「ルドガーが美味しいの作るからですよーだ」


べ、と舌をだすとルドガーは呆れた顔で、けれど笑って、私も笑った。私達を見てユリウスもくすりと笑い、目が合うと、ふ、と笑うから心臓が途端に五月蝿くなった。


「兄さん、俺ちょっと出掛けてくるから」
「どこに行くんだ?」

「ドヴォール、同級生が結婚するみたいでさ、お祝いだよ」


誰だれ?と聞くと、ルドガーと仲の良かった男の子らしく、とりあえずおめでとうって伝えてね、というと、任せろと頭をぽん、と叩かれた。


「じゃあ、いってくる。
今日は帰ってこないから、晩ご飯、よろしくなリティル」
「ん、了解。お土産よろしくね」


時間があればな、と家を出ていったルドガー。広いリビングに、私とユリウスだけだ。


「…いっちゃった」
「二人きりは嫌か?」
「へ?」


先程までの優しい顔から一転、今のユリウスの顔は明らかに不機嫌だ。ソファに座るユリウスの隣に腰かけて、服を引っ張る。「どうしたの?」と首を傾けると、ユリウスは「なんでもない」と答えた。その答えに納得いかないリティルは、ちゃんと話して!と詰め寄る。
言いたいことをちゃんと言い合える仲になりたいのだ。

恋人になったといえど、今までとなんら変わりのない日常。


「リティル」
「ん?」


「……………、」

「あ、わた、私も!」


耳元で囁かれた言葉に顔を真っ赤に染め俯きながら答えた。

ふわり、抱きしめられてユリウスの香水が香る。その香りに包みこまれて、ホッと安堵の息を吐く。あぁ、愛しい。



「ね、ちょっと耳貸して?」
「…どうした?」




「えと、…エヘヘ、愛してるよユリウス」


ちゅ、と頬にキスをするとユリウスは驚いた顔でリティルを見た。


「ふふ、ユリウスは?」
「…俺も、愛してる」


耳元で愛を語ろう。

耳元で鳴り響く音楽と、大好きな人の声。これほどに幸せなことはそうないだろう。


「好きだ、」
「私も、好きっ」


耳元で愛を誓おう。
君を守ると、約束するよ、


愛を囁いて、
(くすぐったくなるほど)



20121112

ギリギリ…!
眠たいの我慢しながら打ってたのでおかしなことになってます(;ω;)