―――――。















「ねぇルドガー」
「、なんだ?」

「あの人…知り合い?」
「会ったこと、ないよね」
「…リティルは、」















リティルは、去年死んだんだ。

ルドガーの声が寂しく響く。

リティルは一年前、断界殻が破られリーゼ・マクシアと繋がった時、たまたま買い出しに出た際、リーゼ・マクシア人に乱暴され、そのまま亡くなったらしい。

当時もう、ユリウスに想いを伝えていた。二人は、恋人同士だった。


「…いいの?」
「当たり前だろ、この世界は、消さなきゃいけないんだ」

「でも、」
「ルドガー…辛そうです、」


エリーゼの言葉に、ルドガーははっとする。この世界のリティルは、あの事件がなかったようで幸せに笑っている。

あの頃のまま、俺の好きな笑顔で、その笑顔をユリウスに向けている。




不意に、ぱちりとリティルと目が合う。



「あれ…ルドガー?」
「っ、リティル…」

「どうしたの?驚きすぎ」
「いや…ごめん」

「ふふ、いいけどね。
…あ、お友達?」


あぁ、とルドガーはジュード達を紹介して、リティルはにっこり笑って頭を下げる。本当は、リティルが死んだなんてルドガーは信じたくなかったのだ。

この世界のリティルの幸せそうな顔を見て、ルドガーは、


「なぁリティル」
「ん?」

「俺さ、ずっとお前が好きだったよ」
「…え?」

「伝えられなかったこと、後悔してた」


「そっか…ありがと、ルドガー
私も、ルドガーが好きよ。意味は、ちょっと違うけど」
「わかってるよ。
…なぁ、今、幸せか?」

「えへへ。…うん、幸せだよ」


リティルの笑顔に、ルドガーは目頭が熱くなった。壊すことに躊躇うな。こうすると決めた、自分が、壊すと決めたんだ。


「ごめん」


「え?ルド、ガー…?」


骸殻を使ったルドガーの姿にリティルは目を丸くする。こんな街中だけれど、ルドガーはもうリティルの笑顔を見たくなかった。

決心が、揺らいでしまうから。



「っあ……なん…っ!」

「ごめん、ごめんな」


ざしゅ、と鮮血が舞う。
チキ、チキ、と槍の先にはゼンマイ。


―…リティルは、笑った。



終わりをげる
世界

(とある分史世界の終わり)



20121119

実はこんな終わりを考えて連載してました。ハッピーエンドだけど、分史世界のお話だった、と。

悲しいけど、ユリウスもリティルも幸せだったと思います。
だから、ハッピーエンドなのです。