「…ん、ここ、は…?」
妙な浮遊感からアミュレインが目を覚ますと、アルヴィンの顔が目に入った。
「、アルヴィン?」
「目ェ覚めたみたいだな、お姫様?」
眉を寄せて睨みつけると、冗談だよ、とアルヴィンはおどける。気付いたエリーゼが走り寄ってきて、次いで気付いたレイアが嬉しそうに近付いた。
「アン、よかったぁ…体調は?」
「平気よ、けど、なんで私」
「マナが吸い取られてるとき、意識失ったんだよ」
「……そう」
情けない。あれしきのことで意識を失うなんて。
「っ、ガイアスは?」
「…ガイアスは、四象刃とイバルと別行動してるよ」
眉を下げて言ったジュードに、アミュレインは唇を噛む。また、まただ。…また、置いてけぼり。やっぱり、私は
「行かなきゃ」
アルヴィンに下ろしてもらい、アミュレインは進むべき道と逆を行こうとする。ティポを抱きしめたエリーゼは一緒に行きましょう?と言うも、アミュレインは聞く耳持たずだ。
「ガイアスのところにいかないと、私は」
「アン」
「私は、ガイアスといたいの、ガイアスがいなくちゃ、わたし」
「…っ、いい加減にしろ!」
「い、た」
どん、と壁に押し付けられる。背中の痛みに思わず声を出すと、アルヴィンの低い声に肩を震わせた。
顔を見れなくて、俯こうとしても、顔の横にアルヴィンの両手が壁につかれているし、そんなことを、しちゃいけない気がして、目を逸らす。
ぴりぴりとした雰囲気に耐えられなくてこの場から逃げたくなった。
「なんなのよ、急に、っ」
「…いい加減にしろよ」
「アル、ヴィ…
―…んんっ!」
目の前にはアルヴィンの整った顔。唇に温かい、彼の其れが押し付けられた。
ゆっくりと離れた唇に、揺れる。何、なんで、なんで!
「なん、で」
「ガイアスガイアスガイアスガイアスガイアス!
いい加減にしろよ…!
お前には、」
肩をぐ、と掴まれて、掴まれた其処が痛い。
「、俺がいるだろう!」
反射的に、アルヴィンの目を見ると、その瞳は悲しげに揺れていた。
今、一体、なにを
「―…え、?」
理解するのに時間を要した。俺が、いる?アルヴィンがいる、どこに?此処に?アルヴィンが、私の近くに?、傍に?
「俺が、お前を守るから、だから俺を見ろよ。
ガイアスなんて捨てちまえ、俺の傍にいてくれ…!」
瞬きする間に、私はきつく抱きしめられていた。
ぎゅうぎゅうと力強く、まるで離さないとでも言っているかのように。
とくんとくんと鳴り止まない胸の鼓動は、速さを増すばかり。アミュレインは、怖ず怖ずとアルヴィンの背に腕を回した。
「アルヴィン、」
「好きなんだよ、アン
お前が、お前だけが、嘘じゃない、」
「アル、」
「頼むから、アイツの名前呼ぶなよ…!」
縋るように、掠れた、震えた声で言葉を紡ぐアルヴィンに、アンの瞳には涙が溢れる。
私は、私は、わたし、は
「わ、たし」
彼の手を、とっていいの?
彼を信じて、いいの?
私を、必要としてくれるの?
「私は、私、は…っ」
ゆっくりと身体が離れ、互いの顔を見つめ合う。
声が、震える。胸が痛い。
「一緒に、いたい…っ」
紡いだ声は、再度抱きしめられてくぐもった声に変わった。
お伽話の様に
(けど、一緒に、いたい)
(なんでだろう、わたし)
(そう、思ってしまったの)
20111026
とりあえず、完成したのはこの日←
20121102
最初に打ち込んでから、一年も経ってしまいました。
…ていうか、皆見てますからぁぁぁああ!←
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