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何故か淋しい




「…そうなると、お前を殺さなければならない約束なんだが?」



中から聞こえた声に、ぴくり、肩を揺らした。3人の他に誰か、いる?

耳をそばたてていると聞こえたのはミラと…アルヴィンの声。


殺さなければ、という言葉でピンときた。そういえば、裏切るようならミラの剣で…と教会の外で言っていたような。


まさか、と思い太股のホルスターから愛銃を抜いて音を立てずに部屋に入る。



「何してるの、アルヴィン」
「、…アミュレインか」
「随分物騒なことしてるのね」

「特に意味はねぇよ」


淡々と話すアルヴィン。
きっと、彼も私と同じでどうしたらいいのかわからないのだろう。

なんとなく、焦りが伺える。


「アン、お前…」
「私はアミュレインよ、ミラ」
「…そうだったな」


アルヴィンは銃を下ろすとミラのベッドに座った。


「…母親が死んだんだとよ」
「人はいずれ死んでいくものだ」

「そんな言い方、!」


ミラの言葉に反応してしまった。レティシャさんを思い出すと、また目の奥が熱くなる。


「いいんだよ、アン

…あーあ、母親は死んでジランドには裏切られるしよ……。
どうなってんだよ俺の人生」


深い、あからさまな溜息を零すアルヴィンを見やる。確かに、アルヴィンの人生は良いものではないだろう。


「今でもエレンピオスに帰りたいのか?」

「それ以外、何が残ってるんだよ」


エリーゼとレイアが寝ている中、アルヴィンは声を荒げた。その声に、びくり、肩を揺らしてしまった。




「アルヴィン、この世界で生きてはもらえないだろうか」
「……!!」


ミラの言葉に驚くアルヴィン。無理もない。私だって、驚いたのだから。


「俺の素性を知ってて、そんなこと言う奴なんて初めてだわ」


す、と立ち上がりミラに向き直ると、"馬鹿じゃねぇの"とガチャリと音を立て、アルヴィンはミラに銃を向けた。


「アルヴィン、銃おろして」
「…黙っててくれよ」
「っ、」


手に持ったままだった銃をアルヴィンにむけると、ミラに銃を向けたまま、こちらに顔を向けたアルヴィンに、ぞくり。背筋が凍る。

なんの感情もないような、けれどその瞳の奥には、怒りと憎悪。


―…息が、とまる。


やっと反らされた視線。
ミラとアルヴィンは視線を交え、はぁ、と溜息をついたアルヴィンは銃を下ろすと、くるり、こちらを向いてアミュレインの肩を叩いた。


「…ぁ…、なに?」
「いんや、悪いな。
…部屋、でるぞ」


手首を捕まれて部屋を出る。ぱたんと閉まった扉。いまだ掴まれたままの手首。


「アルヴィン、いたい」
「…、あぁ悪い。
んじゃ、俺寝るから」


"おやすみ"と離された手に、何故だか少し寂しいと感じたアミュレインは、思わずアルヴィンのジャケットを掴む。

くん、と後ろに引かれて振り向いたアルヴィンは"どうした?"とアミュレインに問い掛けた。


「外、いかない?」
「あぁ、」



何故か淋しい



(意味なんてない)
(ただちょっとだけ、)



20120116

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