TOX | ナノ

ザイラの森。

四象刃として動き始めた4人を、私はいつも羨ましそうに見ているだけだった。

私は偽名をやめ、本名アミュレイン・ラグレイスを名乗ることを許された。けれど表の仕事を任されることは無くなり、裏の仕事を任されるようになった。

たまたま任務でいったシャン・ドゥ。そこでイスラに初めて会い、アルクノアの存在を知った。

潜入し、レティシャさんに出会い、母親というものを知り、なんていい人なんだろうと羨ましくて仕方なかったのを覚えてる。

アルクノアでの仕事は、いい仕事ばかりじゃなかった。身体の関係を強要されたり、人を殺めることも強要された。

何度も泣いたし、辞めたくなった。けど、ガイアスが私を頼ってくれてるし、四象刃の皆も頑張れって言ってくれていたし、仕事の内容なんて言えなかった。

アルクノアの仕事をやめることはできなくて、何故かジランドに気に入られ、度々呼び出され身体を求められ、力で捩伏せられた。

一つの任務が終わり、やっと一緒にいられる時間が増えたと思ったら、マクスウェル…ミラ達一向に潜入するハメになって、私はおかしくなっていった。

ガイアスが知ったら、私を捨てるかな、いらないって言うかしら。私の居場所は此処だけなのに。だから、ガイアスを裏切ることなんてしない。

「アミュレイン」
「ウィンガル、」
「奴らが、来たようだ」


扉が開く。
扉の前にはミラ達がいて、生きていたことにホッとしてる自分がいた。


「ウィンガルさん」
「…話は後にしてもらおう」


ローエンがウィンガルの名を呼ぶも、ウィンガルは溜息をついた。今、それどころではないからだ。

カンカンカンカン、と鐘の音が響き、眉を寄せたウィンガルはつぶやいた。


「…情報通りか」
「みたいね、」


キーン、とスピーカーの音が響く。どこからか、憎らしい声が聴こえてきた。


「私はジランド。
まずは君達の街に強引に進駐した非礼を」詫びよう。
だが、我々の目的は支配などではない!

―…これは、大国間による最終戦争を回避するための非常処置だ。

諸君の生活と安全は、アルクノアが責任をもって保障しよう!

我々と諸君の願いはひとつのはずだ!リーゼ・マクシアに永遠の平和を!!」


長々としかジランドの話が終わると、またキィン、と音がした。


「あの、屑男…!」


ぎり、と歯をならした。
ウィンガルはアミュレインの肩を掴み落ち着けと言わんばかりに首を振る。
目を逸らして溜息をつくと、ちょうどジュードがアルヴィンに問い掛けていた。


「…アルヴィン
もう知ってること、全部話してよ」


足を組んで座っていたアルヴィンは、なにも言わずに立ち上がり、飛んできた鳩に括りつけられていた手紙を読んだ。


「ガイアスは、奴らに抗うのだろう?」


ミラがウィンガルに問う。私とウィンガルが何も言わなかった。そして、ウィンガルは後ろを向いて、去った。



ザイラの森。



(潜入のタイミング、)
(わかんない…!)



20111212


久々更新なのに、話が纏まってない…orz

一応、やっと本編にかえってきました。
過去編は打ってて楽しかったです←



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