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ワタシの行方

一人の仲間が、命を落とした。けれど、それは意味のある死であったと後に国では讃えられるだろう。

助けることはできたのだ。彼を、救う方法はあった。

もし私が彼を救っていたら?

こんなにも悲しくなかっただろうか。

こんなにも、涙が溢れることはなかっただろうか。

胸にぽっかり穴が空いたような、虚無感。


後ろ振り返っても、ジャオが来るわけじゃない。
けれど私は、何度も何度も振り返ってしまう。もう、会えない彼の姿を思い浮かべて。


「アン」
「、プレザ」

「泣いてたんでしょ」
「あは、わかる?」

「この短時間でそこまで目が真っ赤になってるなんて、ある意味すごいわ」


私よりも背の高いプレザに、頭を撫でられる。歳は私のほうが年上だが、こうしているとどっちが年上かわからない。

"もう大丈夫"とプレザから離れ、ウィンガルに近付いた。治療したとはいえ、あんなに深手を負っていたのだ、辛くないはずかないから。


「ウィンガル、治療するから座って」
「…心配ない」
「い い か ら !」


腕を引いて座らせた。眉を寄せて嫌々ではあったけれど、何も言わない辺り本当はまだ辛かったのだろう。


「…泣いていたな」
「違うよ、大丈夫」
「強がるな」

ウィンガルの声を聞いていると、あぁ私はガイアス様の側近なんだと思える。ここ最近はずっとア・ジュールを離れていたから、皆の声を聞くと落ち着く。


「…あまり、無理するな」
「…ありがと、ウィンガル」


治療を終わらせると、頭を撫でられた。皆私の頭を撫でるけど、とうに成人してる私は嬉しくないし寧ろ恥ずかしいわけで。ふ、と鼻でウィンガルに笑われて、顔が熱くなるのを感じた。


「そういえば、」


エリーゼや、ミラやレイアは、大丈夫だろうか。アルヴィンも、腕怪我してなかった、け…。


「うそ、なんで」


なんで、私は彼らのことを考えた?もしかして、私は。

居心地が良いと思ってしまっているのか。

彼らを助けたい、力になりたいと思ってしまっているのか。


「ダメ、駄目だめ。私は、ガイアス様の側近なんだから」


ジュード達の心配なんて、
いつか、いつか





私は彼らを裏切るのだ。




「アミュレイン、行くぞ」
「あ、うん」


ウィンガルに呼ばれて、今は先に進むこと、ジランドをどうにかすることを考えようと、決めた。


「あ、」
「なに、どうしたの?」

「いつアンに戻ろう

ほんとは帰ってきたいけど、まだ時じゃないと思うし」

「…死んだことにすればいい、あの爆発で」

「いい考えね
それなら一緒にいられるし、私は賛成よ?」


悪戯に笑ったプレザに、私は肩を落とした。



ワタシの



(まだ、一緒にいたい、かも)

(もう、よくわかんないよ)



20111127

ぐだぐだヒロイン
もうどうしたらいいか分からない様子←

戻りたいような戻りたくないような


とりあえず、女3人を気にしてるヒロインです

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