雪間の花蜜、ひとしずく(6)
ー一心に饅頭を頬張る。
無邪気な横顔を見つめる。
年頃としては、立派に大人なのだけど
ーあけすけな笑顔。
その言動も、くるくる変わる表情も。
どこか幼さを残して。
嬉しい時にはこうして
体全体で喜びを表して…。
そんな愛らしい姿を見つめているのが
今、自分だけという、
優越感にくすぐられる。
けれど同時に。
ー隠していた、甘く
とろりと。熱い…
もうひとつの
ー常に蓋をしてきた感情までが
溢れそうになるー
その感情は
蜂蜜に似ているかもしれない。
頬が落ちるほどに甘く甘く。
どこか舌に、甘酸っぱい余韻を残す。
決して振りきれないー
焼き焦がす程に甘く疼く。熱だった