雪間の花蜜、ひとしずく(4)


「も、もう!酷いです!お、乙女を
そんなに笑うなんて!」

「ごめんごめん。ーそうだな、じゃあ
あと、一度。通しで読めたら
ひと休みしようか」

そう言いながら。武市さんは
脇に置いてあった紙包みを取り上げて
軽くかざして見せた。

「宝積屋のお饅頭だよ」

それは。
私も、武市さんも大好きな

餡の甘さと、しっとり皮のハーモニーが
絶妙な、絶品のお饅頭だった。



「!!私!頑張ります!!」


現金なものだけど

お饅頭も…うれしい、けど

あの、私が大好きなお饅頭を、

武市さんが
私が喜ぶだろうと思って
買ってくれた事が嬉しくて…

私は、一気に燃えた。





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