雪間の花蜜、ひとしずく(3)
「全く…」
ー武市さんは。悪戯っぽく、ふっと
笑った。
「八ツ時が待ち遠しくて集中できない
のかな」
「!!そそっ…そ、んなことっ…」
ーお、乙女になんて事をっ、と否定
しようとしたその時。
ぐぅうぅー!きゅるりーん…
「…っっ!わーっ!」
私は、武市さんの言葉に実に正直に
騒ぎ立てるお腹を押さえて
火を吹きそうな顔も押さえようとして
たこ踊りをしてしまった。
「…ぷっ…くく…っ」
「わ、わわっ…笑うなんて酷いですー!」
私が真っ赤になって抗議すると
武市さんは、笑いを
噛みこらえるように。肩を震わせながら
「ああ…すまない…いや、素直だね、
君のお腹の虫は」
ふくく…と
まだ笑っている。