あまさ、ひとつぶ(11)


「あ…
ありがとう…ございます…」


ー武市さんは。薬をしまい終わると
私に向き直った。

「ー百合さん。少し話があるんだが」


ーその言葉を聞いたとたん。
びくっ、と体が震えた。

(し…叱られる…!?)

そうだよね…
気をつけなさいって言われたばかりなのにあんな…。

(ああもう!どうしよう…!)


心の中で、パニックになってしまった
私の前に。武市さんがきちんと座り直した。

「百合さん」

「…は、はい…」
ー雷を覚悟して。私は目をつぶった。


けれど。

次の瞬間。



落ちたものは、意外な感触だった。

ーふわり。


縮こまった私の頭に。
あたたかいものが乗った。



(…え…?)


重みがあって。

あったかくて…広い。


それは、武市さんの手だった。

「!?武市さんっ…?」


顔を上げると。
そこには、穏やかな顔をした
武市さんがいた。





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