あまさ、ひとつぶ(8)


ドタッ!

がちゃん!!パリンッ!

ー派手な音が響いた。

「…い…った…。!あっ…お皿…」



「!大丈夫かいな!百合ちゃん!」

ー物音を聞きつけて、駆けつけてくれた
女将さんに、手を取ってもらい
私は痛む膝を押さえて立ち上がった。

「ご、ごめんなさい!!お皿…っ」

ー持っていた、綺麗な陶器のお皿は
廊下の角で、大半が割れてしまっていた…

「なになに皿なんか構わへん。それよりー怪我しとるやないの!」


ー言われて、見ると…
割れた時に切ったのかもしれない
左手の指が切れて血が出ていた。



「どうかしましたか」

ー向こうから。武市さんがやってきていた。

「ああ、武市先生、すんまへん。
先生らのお客はんに怪我させてもうて…」
「わ、私が沢山お皿を抱えたから…
すみません!」

慌てて頭を下げる。



また…やっちゃった…。


気をつけなさいって…さっき
言われたばかりなのに…!

気を張りすぎて、失敗して
取り返そうと焦って、また失敗する…

私は。まさにそれだった…

もう…もう

絶対に…信用なくした…

ー私は、もう…半泣きだった…





prev | top | next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -