あまさ、ひとつぶ(4)


ー寺田屋さんの皆さん。

龍馬さん。いつも優しくて。
ー未来から来た…なんて怪しい存在の
私を、いとも簡単に受け入れてくれた。

慎ちゃんも、姉さん姉さんて呼んで
元気に接してくれる。

以蔵も、私とは
顔を合わせればケンカだけど。
ーさり気なく優しくしてくれるのが
わかる。

ただ…
武市さんだけは
まだ、硬いというか…


怪しさから考えれば
当然なんだけど。

(まだ…警戒されてるのかな…)

前に、ふわって笑ってくれた
時もあったんだけどな…


あの時ーしみるような優しい笑顔に。
胸がキュンと締め付けられた。

ー不思議な…感じだったな。






ーそんな事を思っていたら。
武市さんが、またやって来た。

「??武市さ…」


ーずい、と私の傍までやってくると
ー目の高さに屈み込んだ。


ぴちゃっ

「ひゃー!」
…いきなり顔に冷たい感触を感じて
私は声を上げた。

…それは。

ほっぺたに当てられた…
手拭いだった。

「あっ…あのっ…」

「…動かない」

真剣な顔の武市さんが。
濡れた手拭いで、私の顔をそっと
拭いてくれていた…。





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