あまさ、ひとつぶ(1)
前略。
お父さん。
お母さん…。
現代で、女子高生していた私は。
…ただいま、幕末の混乱期ただなかの
日本で生きています…。
毎日、学校に行き
楽しく部活に明け暮れていた日々は
今は遠いものとなりました。
所謂「タイムスリップ」をしてしまい。
途方に暮れていた私は
ここ、京都の船宿「寺田屋」さんに
投宿していた四人のお侍さん達に
助けられました。
助けて貰った恩返しをしようと
宿で色々とお手伝いをしているのです。
みんなも、女将さん達も
気にしなくていい、と言ってくれるん
だけど。
そんなわけには行かないよ!
だって、タダで泊めてもらって
…何かお返ししなくちゃ。
未来の女子は、図々しいって
思われたくないもん!
けれど如何せん。
便利に慣れた暮らしをしていた女子高生の私は…