「ちょっとなまえ」

「なによ」

「あんた部屋帰るんじゃなかった?」

「あ、そうだった」

「あっは!!なまえ寝ぼけてたんじゃないの!?」

「うるさいなぁ」


気づいたら部屋に戻るはずが、またベラの隣に座っていた。
確かに笑われて当然よね。
自分でもやってることの意味が分からないもの。

私はさっきのあの人のことで頭がいっぱい。
勿論ブラックじゃないわよ。
あんな格好いい人が世の中に居たんだなんて馬鹿な事を考える。


「なまえ顔赤いんじゃない?」

「嘘っ」


バッと頬を手のひらで包む。
あ、ホントだ熱い。
手のひらの冷たさがジワジワ伝わる。
私の頬よ沈まれ。


「酒でも飲んだんじゃない?」

「飲むかっつのよ。」


そうだ、なんか冷たい飲み物入ったコップで冷やそう。

…あった。
普通の水でいいしね。

生憎向の席の方にある。
手伸ばしたらここら辺の料理に袖付きそう。


「ちょっとごめんそこの水取ってくれない?」

「…はい。」


あ、レギュラス君じゃない。
水を受け取りながら顔を凝視してしまった。
今まであんまり気にしなかったけど、これまた兄弟揃って顔整ってるのね。


「何ですか先輩」

「え」

「僕の顔に何か付いてますか?」


性格はこっちの方がまともそう。
てか絶対まともね。


「いや、ごめん。なんか、顔はお兄さんに似てるんだなぁと思ってさ。」


ちなみに私の中で"顔は"って強調したつもり。


「僕に兄はいません。」

「え」

「僕に兄はいないんですよ、先輩。」


…どういうこと!?
苗字が偶然一緒なの?
いやいや、ないでしょ。
顔も似てるし。
もしかして家庭の複雑なとこに突っ込んじゃったとか?
なんかごめんなさい。


「あんたの兄さんはグリフィンドールではしゃいでるじゃないのよ」


ベラがニヤニヤ笑いながら言った。

なんだ、いるんじゃないのよ!
微妙な嘘つきやがって!
でもちょっとホッとした。


「あんなの兄じゃありません。」


…ああ、なる程。
確かに兄弟でスリザリンとグリフィンドールなんて…
色々あるのね。

ぶっちゃけどうでもいいけど。


「なまえ」

「ん?」

「授業行くよ」

そうだった。
すっかりサボるつもりだったけど。
仕方ないから行くか。
てか何でサボるんだったっけ?
ああ、なんかだるかったからか。


…そんだけだったっけ?



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