※5000hit ヒヨリさんへ!



眠れない。
でも明日早起きする必要もないから、寝ることを半ば諦めてボーっと暗がりを見つめていた。

隣でシーツが擦れる音がして音の方へ寝返りをうつ。
広いダブルベッドの上、暗闇で相手の存在すら目で確認しずらいのに今はっきり目が合っている気がした。


「…眠れないの?」

「…眠れないの」

「奇遇だね、僕も」

「嘘つき」


さっき寝息聞こえてたもの、と言えばリーマスの優しい笑い声が聞こえた。
一体なんでそんな嘘をつくのか分からないけど、起きてるのが自分一人じゃないってだけでさっきよりいくらか気分が楽になった。


「考え事してたらね、眠くなくなっちゃって」

「考え事?」

「うん、昔のこととか」

「ふーん」


またシーツが擦れる音がしてリーマスの気配が近くなった。
伸びてきたリーマスの手が私の髪をすく。


「私達がホグワーツにいた頃は、今こうやってリーマスと私が一緒に住んでるなんて想像もつかなかったのになって」

「想像するどころか、なまえと初めて話したのは6年生になってからだったし」

「そう思うと同い年なのにそれまで話したこと無かったのがすごいよね」

「うん」

「それより前に会ってたら、会うタイミングが違ったら、お互い違う人と結ばれてたのかも」

「でも、もっと早く会って居たかったな。なまえと」

「うーん」

「なまえを知らずに過ごした年月なんて無駄に等しいよ」

「やだ、何言ってんの大袈裟ね」


照れ隠しに笑ってみた。
髪からリーマスの手が離れて行ったかと思うと、そっと私の顎にリーマスの唇が触れた。


「そこ唇じゃないんだけど」

「仕方ないよ、暗くてよく見えないんだ」

「へたくそー」


おかしくて笑っていると、背中に回された腕が私をリーマスの方へグッと引き寄せた。
近くにいるリーマスの体温が伝わってくる気がした。


「じゃ、なまえがしてよ」


私は手を伸ばしてリーマスの頬に添えて位置を確認する。
そして、そっと口づけた。

よく見えなくても、なんだか恥ずかしくてすぐにリーマスの胸に顔を埋めた。


「上手上手」


私の背中にあるリーマスの手がポンポンと心地よいリズムを刻む。


「おやすみなまえ」


優しい声と甘い香りに身を任せて、私は意識を手放した。



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