パパは純血の魔法使い。
ママは純血の魔女。
そんな二人から生まれた私は勿論純血の魔女。
マグル生まれも半純血も否定する程じゃあない。
でもやっぱり純血の私達に比べたら格が違うんじゃないかしらって思ってる。
少しだけね。
ホグワーツに入学して3年目。
深緑ってあんまり好きじゃなかった。
でも今は逆に好きな色の1つ。
ネクタイにローブに部屋の壁紙にベッドカバー…毎日こんなに至る所でこの色見てたら、むしろ嫌いじゃやっていけないわ。
友達も入学当初よりずっと増えた。
勿論スリザリンの。
皆ちょっと性格に難ありって感じ。
でも、それって言ってしまえばスリザリンだし。
性格に難ありって私も人の事言えないのよね。
今日の朝も「早くしないと置いてくよ」っていうのベラの怒鳴り声で覚めた。
彼女ったらすぐ叫ぶ。
そのお陰で起きれるんだけどね。
ちゃっちゃと着替えて支度して、朝食のために大広間で席をとった。
「ちょっとなまえ、あんたアタシの方に詰めすぎ」
「ごめんごめん」まったく面倒くさいなぁ。
朝は動くのしんどいのに。
とかぼやいてたらベラの舌打ちが聞こえた。
これでも友達。
ボーッとしてたらいつの間にか向こうの机に居たグリフィンドール生と目が合ってた。
たしか、1つ下のレギュラス・ブラックの兄さんだったはず。
つまり、なんたら・ブラックって奴って事よね。
他寮については友達から聞く程度しか知らない。
それで2年間やってこれたし問題ない。
そういうこと考えつつ尚ボーッとしてると何を勘違いしたか向こうが微笑みかけてきた。
きもい。
イケメンだけど女たらしは嫌いなの。
聞いたんだからね。
あいつ女たらしなんだって。
顔がいいからって調子に乗ってるんだきっと。
話したことはないけど。
何なの朝っぱらから。
朝の不機嫌さが手伝ってものすごくイラつく。
声の届かない距離にいる相手にもそれが伝わるように大袈裟に眉間に皺を寄せた。
「何見てんのよ」
ついでにつぶやいてみた。
ついでのついでに唾でも吐き捨ててやりたいけど食事中だものね。
「あん?」
「ベラじゃないわよ」
「あっそ」
トーストを食べてるとき、カボチャジュースを飲んでいるとき、チラチラ奴を盗み見たけどずっとこっちを見てた。
きもい通り越して怖いんだけど。そういえば午前中最後の授業はグリフィンドールとの合同授業あったっけ。
たしかあいつも3年生。
嘘でしょ最悪。
今決めた。
サボろう。
あいつがいても大した支障はないと思うけどなんとなく今日だるいし。
さっさと食べて部屋に帰る。
さっさと食べて部屋に帰る。
さっさと食べて部屋に帰る。
自分でもびっくりするくらい早食いだった。
その間も隣の机からの視線は痛い。
ニヤニヤしてんじゃないわよ。
「アタシ部屋帰っとく!」
勢い余って結構大声出しちゃった。
はずかし。
ベラは言葉を返すでもなくこっちをちらっと見た。
聞こえてたなら問題ないよね。
さっさとあいつの視界から消えたい。
むしろあいつに消えてほしいんだけど。
私は立ち上がった。
やっと奴の視界から逃れられると思うと清々するわ。
そして早足で歩き出す。
でもそのとき、奴も立ち上がったのには気づかなかった。
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