※ピアッシング表現注意



「ぎゃー怖い怖い怖いっ!」

「ちょっとなまえ先輩動かないでください」

「だって絶対痛いもん!死ぬ!ショック死するわ」

「死んでも先輩の事愛してますから…」

「レギュラス君…」

「なまえ先輩…」

「ちがう!ちがう!そうやって気をそらせて一気にやろうとしたでしょ!」

「はぁ…第一自分が開けたいって言ったんじゃないですか」

「うっ」


ピアスホールを開けようと決めたのは昨日の夜中。
レギュラス君と呑んでた時。
酔った勢いもあった。
そんなわけで、昨日の夜中居酒屋から24時間営業の大手スーパーに直行してピアッサーを調達。
一夜開けて今に至る。


「ピアッサー買っといて開けないなんて情けないですよ」

「でもでも」

「昨日言ってたじゃないですか"昔から好きな人にピアス開けてもらうって決めてたのォ、レギュラス君…あ、け、て"って」

「ぶぁーかっ!そんな言い方してないもん!」

「いいからさっさと開けまししょうよ」

「何それ、結局自分が開けたいんじゃん!」

「…」

「てか何でそんなに開けたがるのよ」

「開けたら…」

「っ…」


さっきまでの空気は何処へやら。
突然真剣な瞳に捕らわれた。


「ピアス開けたら、残るじゃないですか」


"何が?"と言いかけた口を閉じた。


「僕の跡が」

「レギュラス君…」

「すみません、無理矢理はよくないですね」


何事もなかったみたいに笑った。
まったく作り笑顔が上手いんだから。
耳から離れていこうとした手を掴む。


「いいよ」

「…」

「そういうの好きだよ、愛されてるって気がして」


第一、ピアスホールずっと開けたいって思ってたし、"好きな人に開けてもらいたい"ってのも事実。


「趣味が悪いですね」

「よく言われる」

「まあ、そのなまえ先輩とつき合ってる僕も同じですね」

「レギュラス君、」

「はい」


目を瞑ってお互いの唇を啄む。
長いキス。
そして耳たぶに若干の衝撃を感じた…気がした。


「んっ」


思わず目を固くつぶる。
離そうとした唇をまた捕まえられた。


「はっ」


息が苦しくなって解放してもらうまで随分の時間がたったに違いない。


「あ、」


耳が強く脈打つ気がしてそっと触れればさっきまでなかったピアス。


「痛かったですか?」

「あんまり痛くなかった」

「よかったですね」

「ねぇ、レギュラス君」

「何ですか?」

「本当は跡なんかつけなくても私からレギュラス君を離す気はないよ」

「僕だってそう簡単になまえ先輩を離しはしません」


耳に感じるジンジンとした感覚さえ愛おしかった。


「ねぇもっかいキスして」



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