「ベラ、おはよ」
「おはよう、なまえ顔色悪いね」
「眠れなかった」
今日はリーマス君とホグズミードに行く当日。
昨日はもちろん眠れなかった。
本を読んでも、ストレッチしても、羊を数えても。
お陰でいつかみたいに目の下にはクマ。
"どうしよう、よりによってこんな日に…"
と嘆いていたらベラがコンシーラーを貸してくれた。
今日なんかお土産買ってきてあげよう。
ベラに今日は違う友達と行くって言ったから大丈夫。
"何で?"とか"誰と?"とか野暮な質問をしないところがいい。
結局服は、前から持っていたシャツとスカートとベラに借りたコート。
やっぱりベラに感謝よね。
こんなに緊張はしてるのに実感があるかと言えばないに等しい。
だって信じられないでしょ、私が大好きなリーマス君とお出かけなんて。
「やばいやばい…っ」
完全に危ない人のように呟きながら集合場所に行くと、リーマス君はもう居た。
こっちに気づくとにこやかに手を振った。
なんと神々しい…
「待たせてっ、ごめん」
ダメだ、緊張するとすぐ言葉がうまくでない。
「そんなに待ってないよ。じゃ、行こうか」
周りは浮かれていて、私達二人なんか興味ないみたい。
好都合だけど。
リーマス君はちょこちょこ話しかけて来てくれるけど、それどころじゃない。
まずハニーデュークスに直行。
店内の甘い匂いに頭をボーっとさせながらリーマス君が熱心におすすめのチョコについて話しているのを聞いた。
「こっちのチョコは甘いけど、飽きっぽい味なんだ。たまに食べるならいいけど、なまえにはやっぱり少し苦味があるのがおすすめかな。」
「なるほど」
そういうリーマス君は極甘のチョコを大量買いしてておかしくなって笑っちゃった。
大分リーマス君といるのに慣れてきた。
お店から出るといかに自分の鼻が甘い匂いに慣れていたのかを思い知らされる。
「次どこいく?」
「えーっと…あそことか?」
全く考えてなかった私は焦って目の前のお店を思わず指さした。
こんな店あったっけ?
店内はアンティークな感じの雑貨屋。
こんなところにも快く着いてきてくれるリーマス君に感心。
「いらっしゃい」
奥から出てきたのは、上品なおばあさん。
きっと昔は美人だったに違いない感じ。
「お二人でいらしたの?」
「はい」
顔に浮かび上がる皺の一つ一つから人の良さがにじみでている。
「お似合いのカップルね」
「え、あ、いや!そ、そ」
「ありがとうございます」
「ほ!?」
必死に否定しようとする私を遮ってさっきまでアクセサリーコーナーを見ていたリーマス君が答えた。
びっくりしすぎて、アホみたいな声でちゃった。
恥ずかしい。
てかリーマス君どういうつもりなのかな。
聞いてなかったとか?
社交辞令と受け止めたとか?
言語通じなかったとか…はないか。
「あなたそれ、気に入ったの?」
「あ、はい」
リーマス君がおばあさんからなにか買っていた。
私もベラにはチョコ買ったし、特に買うものもなかったのでしばらくしてお店を出た。
"リーマス君なに買ったんだろう。"
そんなことを考えるのも一瞬で、一人悶々とさっきのことを考えていた。
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