息が詰まるほどの緊張。
心臓は破裂しそうなくらいバクバクしてる。


「重くない?」

「大丈夫」


短い一言を発しただけで息が苦しくなった。


「それ僕が持つよ」

「ありがとう」


そういってリーマス君は私が持っていた最後の2つの水晶玉を軽々と運んだ。


「終わったね」

「ありがとうね」

「どういたしまして」

「…」

「…」


ど、どうしよう…
何から話せばいいかわからない。


「なまえ、」

「はいっ!」


びっくりして変に返事してしまった。
でもリーマス君は気にしていないみたい。


「こういうこと聞くのあれだけど…僕さ、なまえのこと怒らしちゃったかな?」

「違うよ!そんなことない!!」

「本当に?」

「本当に!」


そりゃ、避けられたら思うよね。


「私が悪いのに…」

「え?」

「私が悪いの。リーマス君は悪くない」

「僕が悪くないのになまえが悪い訳ないよ」

「違うの。私が勝手に勘違いして、リーマス君さけようとしてたから」

「そうなの?」

「ごめんね」


私だったら、勝手に勘違いして避けるような子はごめんだわ。


「よかった」


でもリーマス君は私と違った。


「どんな勘違いだろうと、それが解けて」

「ありがとう、ごめん」

「うん」


リーマス君はどんな勘違いだか聞かないみたい。
自分勝手だけど、すごくほっとした。
リーマス君とリリーが付き合ってるって思って避けてたなんて知られちゃ色々まずい。


「せっかく仲良くなれたのに、嫌われちゃったかと思った」

「嫌いになんかなってないよ」

「うん。本当によかった」


嫌いになんかなれなかった。
この笑顔みたら尚更よね。

どんどん赤くなっていく顔を見られないようにうつむいた。
困ったな。
すぐ顔赤くなっちゃうもんな。


「なまえ?」

「わっ」


突然俯いていた私をリーマス君がのぞき込んできた。


「顔赤いけど熱でもあるの?」

「違う違う!ちょっと暑いなーなんて」


なんとか顔をさまそうと手を頬に当ててみたけど手のひらさえ熱い。


「ははっ」


顔をあげるとリーマス君が微笑んでいた。
やめてよ。
もっと顔が赤くなるじゃない。


「なまえって可愛いよね」

「え!?」

「ははっ」


もう顔や手のひらだけじゃなくて全身が熱かった。
汗かいちゃいそう。
私が可愛い?
嘘でしょ。

こんなありがたい状況に置かれていても早くこの場所から立ち去りたいと思った。
恥ずかしい。


「私、そろそろ行こうかな」

「待って」


早く立ち去らなきゃ私ぶっ倒れちゃうよ。
取りあえず早く部屋に帰ることだけ考えていた。


「なまえ甘いもの好きだよね?」

「うん」

「今度の週末一緒にホグズミートのハニーデュークス行かない?」

「うん」

「じゃ、またね」

「うん」


え?
体が冷めてきたころ気づいた。
リーマス君とホグズミート?

また体が熱くなってきた。




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