「あはっ、なまえすごいクマだよ」
朝一番にベラにそう笑われた。
うるさいなぁ。
眠れなかったんだもん。
でも眠れなかったとは言わない。
"何で?"って聞かれたら嘘をつかなきゃいけなくなるから。
ガンガンする頭を抱えて、きつい体を起こして、朝食も無理矢理胃に押し込んだ。
「だるー」
昨日色々考えたけど、リーマス君やついでに、ブラックに謝らなきゃって思う。
私の勝手な思い違いでこうなったから。
でも、自分から近づいたりはしないし、できない。
だからその時を待つしかないんだよなぁ。
大丈夫なのかなぁ。
とは言っても、スリザリンの私が他寮生に謝ろうなんて…。
ブラックはともかく、今は自分のプライドよりリーマス君に嫌われたくないと思った。
「午後からの授業なんだっけ?」
「スリザリンとグリフィンドールの合同授業」
これは確認済み。
「…合同授業なんてどうでもいいって、授業の教科が何かって」
「それは知らない」
ベラには合同授業なんてどうでもよくても、私には重要なこと。
逆に私には教科なんてどうでもいい。
密かに合同授業で、リーマス君と話せる機会がないかなって思う。
結局占い学だった。
今日は2人1組で水晶玉を眺めるっていう退屈な授業。
こんなことするなら変身術とか魔法薬学とかしたほうがためになるのに。
まぁ、楽だからいいけどさ。
「…みょうじ」
「みょうじ!!」
誰かに呼ばれて、寝ていたことに気づく。
最近で人に起こされるの2回目じゃない。
「ん…」
寝不足のせいか、頭が全然すっきりしない。
「なまえ、起きなってば」
隣のベラに肘でつつかれた。
痛いなぁ。
でも、目を開けた瞬間また意識が飛びそうになった。
「みょうじ、占い学の授業では睡眠学習はしないんですよ」
先生が目をつり上げてこちらを見ていた。
ついでに嫌味も。
「起こしたんだよ」
「うぅ…」
ベラがまたこそこそと話しかけてきた。
「みんな見てるよなまえのこと」
「うるさい」
「ははっ」
寄りによってリーマス君もいる合同授業で居眠りして怒られるなんて。
あーっ、恥ずかしい。
恥ずかしい!
今リーマス君を含め色んな人からの視線を集めてると思うと、キョロキョロなんてできなかった。
ただうつむいていた。
「みょうじ」
先生にまた呼ばれた。
「はい」
「今回は授業後の後片付けで許しましょう。授業が終わったら水晶玉を片付けるように。」
「はい」
減点も嫌だけど、後片付けも嫌だ。
授業が終わって、誰も居なくなった教室を見渡して後片付けをしようと立ち上がった。
水晶玉を2つ抱えて棚に戻す。
結構重い。
次の2つを取りに行こうと振り返った。
「わっ!!り、リーマス君!?」
振り返るとリーマス君が立っていた。
予想外のことにすこし飛び上がった。
「驚かせてごめん。僕も手伝うよ。そしたら少し話せる?」
嬉しいのと、驚きで声が出ない私はただコクコクと頷いた。
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